同定 |
開張13-21mm本種はAdoxophyes orana リンゴノコカクモンハマキにきわめて酷似するが, 前翅に端紋を有することで, 表徴による識別が可能であるが, 両種とも個体変異にとむだけに区別は難しいこともある. 交尾器では本種の transtillaの刺はより大きく, 雑で, brachiola は長短はあるが, リンゴノコカクモンハマキよりも長く, sterigmaやantrumの形状にも差異がある. 蛹の頭楯の刺毛数は両種識別のもっとも安定した特徴とされており, 本種では2対, リンゴノコカクモンハマキでは3対である. 両種間の交雑実験等から雑種の生存不能等の知見も確認されている(Honma,1972). なお, 2種は人工飼育が可能で, 1971年には農業技術研究所の玉木等(1971)によって, 蛾では日本で初めて性フェロモンの抽出, 分離がなされるとともに, 合成も可能となった. このフェロモンは2種の化合物,
cis-9-tetradecenylacetate(cis-9-TDA)CH3(CH2)3CH:(CH2)8O・COCH3とcis-11-tetradecenylacetate (cis-11-TDA)CH3CH2CH=CH(CH2)10
O・COCH3とからなり, チャノコカクモンハマキではcis-9-TDAとcis-11-TDAが4:1, リンゴノコカクモンハマキでは9:1の場合に♂の活性がもっとも強いという.
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分布 |
本種の分布は主に関東以西, 四国, 九州, 対馬, 伊豆諸島, 屋久島, 琉球列島までに及ぶが, 北限は山形県温海町で, 関東以西から北九州にかけては両種が混生するところがある. |